「宇宙船から連絡です」

先日、出版社朝日ソノラマの解散の報を知り、驚きました。
朝日ソノラマ公式サイトでの告知

私は年代的にソノシートの記憶はほとんどないんですが、朝日ソノラマは思い出深い出版社です。 
小学校に上がる前くらいから手塚治虫の『火の鳥』を、朝日ソノラマの別冊マンガ少年版で読んでいました。
で、中学に入る頃かな? 雑誌『宇宙船』の存在を知って、特撮というジャンルをこんなに真面目にとり上げる媒体があるのかと、すごいインパクトを受けたものでした。
当時の『宇宙船』と、その別冊的な存在だったファンタスティック・コレクションは、現在のように特撮関係の情報が豊富ではなかった時代、貴重な存在でした。
それからソノラマ文庫では「キマイラ」シリーズや「吸血鬼ハンターD」シリーズ、「ARIEL」シリーズをはじめ、若年層をターゲットとしたSF・ファンタジー系の作品を数多く刊行していました。現在のライトノベルの基礎となるシリーズであったと思っています。
また、1980年代には、サン・ワイドコミックスというB6判のシリーズで、当時は入手難だった過去の作品の再刊を精力的におこなっており、石森章太郎作品や水木しげる作品など、このシリーズによって触れることのできた作品はたくさんありました。
あのころの私は、いったい朝日ソノラマの出版物に自分の使えるお金のどれくらいを注ぎ込んでいたんだろう…。間違いなく私の人格形成に大きな影響を与えた出版社でした。
仕事で関わる機会がなかったのが、今となっては残念です。

ただ、ちょっとした関わりはありました。数年前、あるイベントのお手伝いをしたときに、そのイベントの取材について休刊前の『宇宙船』編集部から問い合わせがありました。愛読していた雑誌から連絡がいただけて、軽い興奮を覚えたものです。
それを別のイベント関係者に「さっき宇宙船から連絡がありました」と電話で伝えたんですが、自分で話しながら「まるでSF映画のセリフみたいだな」と思ったのも、朝日ソノラマにまつわる思い出のひとつです(笑)。なので、タイトルに使ってみました。