水霊

山本清史監督の映画『水霊 ミズチ』を観てきました。
山本監督の作品は劇場では『日野日出志のザ・ホラー怪奇劇場 オカルト探偵団』を観ています。山本監督自身がホラー映画に対してマニアックな愛情を持っているのだろうなと強く感じる作品でしたが、一方で限られた層の観客へ向けた作品になってしまっているという印象も受けていました。

今回の『水霊』は、マニア向けではなく、広い範囲の観客層に向けたホラー作品となっていました。
新聞記者である主人公の周りで怪死事件が立て続けに起こり、主人公は別れた夫の力を借りつつ事件の謎を追おうとする、という展開は、おそらく意図的に『リング』のパターンを踏襲したのではないかと思います。
脚本には幾重にも仕掛けが施されており驚かされますが、それゆえに1回観ただけではストーリーがわからないという人も少なくないのではないかと思います。また、やはりストーリーに何ひねりも加えられているために「何が怖いのか」という核の部分がぼやけてしまっているように思えました。
柳ユーレイさんや三輪ひとみさんなど、1990年代以降の和製ホラー作品ではお馴染みの顔が出演しているのはホラーファンには嬉しいところでしょう。『水霊』を観ようと思った理由のひとつは山本監督が脚本・監督をつとめているテレビシリーズ『心霊探偵八雲*1が面白かったからなのですが、『八雲』に出演している俳優さんがほぼ同じ役で『水霊』に出演しているのにはニヤリとさせられました。こういう遊び心は好きです。

*1:山本監督の担当分は1話〜9話まで