アクエリアンエイジ 劇場版

3月22日から公開されているのが『アクエリアンエイジ 劇場版』。同名のカードゲームが原作ということですが、申し訳ないことに原作についてはよく知りません。
主人公の高校生・日下部要の周りで起こる奇妙な事件。やがて要は、古代から地球の覇権を争ってきた種族の血が自分に流れていることを知る……というストーリーです。
この種の設定の作品は、ライトノベルやコミック、アニメなどでは成立しても、実写映画化すると、実際の俳優が演じるゆえにその設定の現実離れした部分が目立ってしまい、違和感を生じてしまうことが少なくありません。この作品では、作品全体を、現実からは少しずれた生活感のない世界にすることによって、違和感が生じるのを回避しています。この現実からのずらし方が実に巧みです 。
もう一点、巧みさを感じさせるのが、スケールの大きさを出す演出です。この作品の持つ世界設定はひじょうに壮大なスケールのもので、おそらくそれをストレートに映像化しようとすれば、ハリウッド超大作なみの予算が必要でしょう。この作品はそれほどビックバジェットではないはずですが、ある手法を使うことで、実際に映像として描かれる以上の壮大な広がりを作品に与えています。どんな手法をとっているかは、実際に劇場でご覧になっていただきたいです。
ミュージカル「テニスの王子様」で主役を演じた桜田通さんが主演、共演に「仮面ライダー響鬼」で明日夢役だった栩原楽人さんなど若手男優陣を揃えた作品で、メインターゲットには若い女性層が想定されているのだと思いますが、年齢、性別を問わず楽しめる作品となっていると思います。

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さて、もうひとつ個人的にここがこの映画の見どころ! という部分があるのですが、それはちょっとネタバレっぽくなってしまうので「続きを読む」にしておきます。
この作品、脇役のひとりを演じる綾野剛さんがすごいです。はっきり言っておいしいところを持っていき過ぎです。極端な話、1時間数十分が綾野さんのためにあった映画と言っても過言ではないのじゃないかと。ほかの俳優さんたちは、完成した作品を観て悔しがったんじゃないかなあ(笑)。
先ごろ公開された『奈緒子』ではライバル校のランナーを好演していた綾野さんですが、端正なルックスにもかかわらず、以前書いた『すみれ人形』や今回の『アクエリアンエイジ 劇場版』のように不健全で薄気味の悪さを持った役を演じられてしまうのがすごい。今後も注目したい男優さんです。