キャプテントキオ

2月に公開された映画『キャプテントキオ』が7月にDVDリリースされるようです。

公開時に感想を書きそびれていたのですが、かなりインパクトの強い作品でした。
地震によって荒廃し、無法地帯と化した近未来の東京を舞台にした、ふたりの高校生の成長物語です。
パンフレットなどでは“『マッドマックス』や『北斗の拳』のに通じる世界観”という表現が使われていましたが、私はむしろ永井豪の傑作『バイオレンス・ジャック』のイメージに近いように感じました。
それ以外にも、過去の映画やマンガなど、さまざまな作品から引用がされており、それの元ネタを探すのもこの作品のひとつの楽しみ方だと思います。
個人的に一番驚いたのは、主人公のひとりであるニッタの「裏切ったんじゃない。表返ったんだ!」というセリフ。元はたしかマキノ雅弘監督の『浪人街』だったかな? その後、ウルトラマンソノシートドラマのセリフに使われ、一部のマニアにはそっちのほうでポピュラーなセリフです。
もうひとつ、この作品は「映画を作る」ということが重要なテーマのひとつになっているのですが、映画作りにおける“フィルム”の存在が強調されていることも印象深い点でした。
現在、劇場用作品ですらフィルムを使わない作品の割合がどんどん高くなっています。その中で描かれるフィルムへのこだわり。それは、主人公のフルタや、渡辺一志監督自身が演じる“映画屋”が抱える、先人たちの作り上げてきた映画の歴史へのリスペクトを象徴しているように思います。
DVDではそのフルタや“映画屋”が劇中で撮ったという設定の作品が特典映像として収録されているそうで、ひじょうに楽しみです。